シリコンバレー・アドベンチャー
本書は、起業して失敗するまでが描かれているドキュメンタリー。
起業に伴う困難な事実がよくわかる。資金を集めることの難しさ、MicrosoftやIBMのような大企業のいやらしさ、経営者としての判断の難しさが、その時点での心情を含めてよく描かれている。
全く利益を上げていないのに社員数が200人を超えるまで存続し続けたということは異常だと思う。それだけ多くの投資家が金を出したわけだから、本当に有望な企業だったことが伺える。それでも最後には力尽きる。期待され努力し続けてもうまくいかないこともある。当たり前だけど、その事実は忘れないようにしたい。
![シリコンバレー・アドベンチャー―ザ・起業物語 シリコンバレー・アドベンチャー―ザ・起業物語](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51478D6K7GL._SL160_.jpg)
- 作者: ジェリーカプラン,Jerry Kaplan,仁平和夫
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 1995/10/17
- メディア: 単行本
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以下は気に入った文章、気になった文章。
p.54
会社はその気になれば、いくらでも善いことができる。従業員の技能と知識を高めることも、地域社会に貢献することも、顧客の生活をうるおすことも、人類の知識を広めることも、国際間の理解を深めることもできる。
p.136
正直で心の温かい人でも、ビジネスで大成功を収められるということ。
p.136
つねに上には上がいるということ
p.205
「人間には二つの人生がある。一つは自分が生きる人生であり、もう一つは他人が語る人生である」
p.378
「考えてもみろよ。どれだけの雇用が生まれたか。どれだけの人たちが胸を熱くしたか。どれだけの人たちがペン・コンピューティングの未来を信じたか。こういうもののほうが、株式なんてものより、ずっとずっと長く残るんだ」
p.407
ほんとうの問題は、なぜプロジェクトが死んだかではなく、売上もなしに、なぜあれほど長生きしたかにある。多くの人たちのたゆまぬ支援がなければGOはもっと早く、しずかに息をひきとっていただろう。プロジェクトがあれだけ生き延びたのは生きたいと願う意思の力が強く、自分たちの正しさを心の底から信じていたからである。今日、世の中をよくしたいという衝動に駆られる人が、若者や馬鹿者に限らてれいないことを知ってほっとする。その衝動は生きつづけ、シリコンバレーで働く人たちの中に強く脈打っている。